夏休みプチ旅行(2) 出撃おさかの里2007年08月26日 14時44分57秒


<朝の駅>

 8月12日。
 宿泊した江坂のホテルには、時節柄高校野球の選手達も宿泊しているらしかった。
 高校名を見ると「駒大苫小牧」。
 こんな所でも北海道に縁があろうとは。そんな事を思いつつ、朝6時半にホテルを出る。
 朝食はまたもや神戸屋。


<雷鳥でGO!>

 この旅の目的は、実はおさかさんの実家訪問と紙すき体験である。今日が本番なのだ。
 さあ、数々の名作を産み出してきたおさかさんの創作の原点へ!!
 ……なんだかんだ言いつつ、一度おさかさんにお会いしたいだけなのだが。

 実は昨日ネットカフェで電車の予約をしたとき、予定していた特急「雷鳥」の便は満席で予約できなかった。幸い臨時便が出ているようだったので予定より少し前の便を予約したのだが、これも「禁煙席」は満席だった。うーんと考えた挙げ句、「喫煙席」を予約。
 喫煙席車両に入るとやはり煙たい。煙草の匂いを嫌う娘は嫌な顔全開でタオルを顔に当てている。比較的煙草の匂いに慣れている私でも体調のせいか、ちょっとキツい。
 間もなく検札に着た車掌さんが一言。
「禁煙の自由席、空いてますよ」
 そうなの?

 自由席、がらがら。

 臨時便だからかしら。そんな事もあるんだねぇ。結局目的地まで自由席は快適にがらがらで、親子は気持ち良く電車で熟睡したのだった。

 * * *

「緑の上着です。次女を連れてます。運転手は兄です(^_^)」
 おさかさんから来たメールを頭に入れて電車を降りる。改札口から向こうを覗き込むと、明らかにこちらを見てニコニコ笑っている女性がひとり。
「おさかさん、ですか?」

 さっぱりと明快な文章を書くおさかさんは、文章の通りはきはきと明るく、そしてふんわかと優しいお母さんだった。


<ふんわり>

 到着した家の玄関には、見覚えのある和紙の暖簾が揺れていた。
「そうそう、これがあの、繭の」
 蚕の繭を梳き込んだ和紙は本当に軽やかに風に舞っていた。感動。
 通された座敷には和紙がふんだんに使われている。卓の上の花瓶下に敷いてある花瓶敷も味わいのある和紙だ。
「これが前書いた、夏障子」
 よしずの葦のようなものが障子紙の代わりとして桟の間に挟まっている。風が通って見た目も涼しそう。


<廊下と中庭>

「この廊下があの、ぎしっと」
 おお。ぎしぎし軋むトイレへの廊下。
「この突き当たりに昔大きな姿見があってね」
 え、本当にあったんだ。鏡。

 おさかさんの文章の題材となった風景。
 そのせいなのか、それともまた別の理由があるのか、初めて来たのに何処か懐かしく、おさかさんとの会話を楽しみつつ私は妙にリラックスしていた。



「クーラーが無くて、ここ、暑いでしょ」
 通されたお座敷は確かにクーラーが無く何度もおさかさんに謝られてしまったのだが、実のところ「暑い」とは全然感じなかった。
 風も通るし、
 繭の暖簾もたなびいてるし、
 クーラー掛けた自宅よりよっぽど涼しいように思える。いや、実際温度的に、それほど差がないんじゃないかな。
 あと、私達親子揃って非常にリラックス&のんびりしていた為、お子達の世話や何やらでぱたぱたと走っていたおさかさんに比べると体感温度は低かったのかもしれない(^_^;



 いよいよメインイベント。
 隣にある工場では、おさかさんの母上がポストカード作りの準備をして下さっていた。盆休み中で綺麗に片付けていた工場にわざわざ、である。ありがとうございます。



 和紙を作る時に用いる目の細かい網を張った枠がテーブルに置いてある。
 その網の上に、葉書大の枠を置き、紙の元となる繊維の入った液を注ぎ込む。あらかた水が引いた頃に枠を退かす。これを乾かすと葉書大の和紙の出来上がり。乾かないうちにあらかじめ用意して下さったパーツを乗せ色を付けたり金ラメを乗せたりして好きに飾り付けていくと、世界にひとつのオリジナル越前和紙ポストカードである。

 和紙については無知に近い。
 越前和紙についてなんて、なおさら。
 この方面に足を踏み入れた事は勿論、興味を持った事も無かったと思う。最寄りの駅の読み方さえ知らないくらい、私は無知だった。
 縁がなければ決してここを訪れる事も、こんな体験をする事も無かったのだろう。
 人生は不思議に満ちている。



 いつの間にか、おさか一族のお子達がわらわらと寄ってきていた。



 面白そうなパーツを持ってきて、てきとーにやっつけちゃう私。
 いろいろ考え考え、好きな模様にこだわり凝りまくる娘。
 なかなか対象的なおやこ(^_^;





 お子達のはみ出す勢いがいい。とてもいい。



 そして私はその合間合間で、工場の写真をぱしぱし撮っていた。
 窓に掛けられている、無数の金枠。
「ああいうの、好きでしょ。ふふ」
 おさかさんが笑っている。やばい、見抜かれている。





 そうなのよ。工場萌えなのよ。



 何枚か作るとお子達は飽きて出ていってしまい、うちの娘も3枚くらい作った所で疲れて退散。気がつくとおさかさんと私のふたりでまだ飾り付けられていない紙を飾っていた。
「ノルマを果たさないとねー(笑)」
「ねー(笑)」



 長くなっちゃった。まだつづくっ!