12. 悲しみのテーマ2010年06月08日 23時35分48秒

 ドアを閉めても、手の震えが止まらない。壁に押し付けるようにスーツケースを置くと自然に深い息が腹の底から溢れ出した。ベッドが大部分を占める狭いシングル。茶色い染みが目立つ壁紙はところどころ剥がれかかっている。壁と色の合わないカーテンを昼下がりの光が縁取っている。こんなビジネスホテルにドアチェーンなんて洒落たものは無い。気休めに椅子をドアの前に置き、乱暴に靴を脱ぎ捨てておれはベッドに倒れ込んだ。
 これから、どうする?
 呟いてみても微かな声はおれの口先で霧散して壁に貼り付く染みに紛れてしまう。目の前には壁と同じ色に変色した天井がおれを押しつぶすように迫ってくる。息苦しくなっておれは横を向いた。ごわごわとした枕カバーに頬が当たる。
 ……って言うか、何をしてるんだ、おれは。

 あれからマユミとは全く連絡がつかなかった。知り合って七年、こういう関係になって五年、今までにこんなことは一度だって無かった。
 保険会社を騙ってマユミの会社に電話を掛ける。迷惑そうな声が響く。無断欠勤。もう何日も。連絡無しに互いの家を訪れるのはおれたちのルールに反していた。でも、当然だろう、おれがマユミの身を案じるのは。

 都会の喧噪は昼の光と空気に分解されて細かく混じり合いながら漂っている。おれの耳はもうその音を騒音として認識しない。ホテルの中はヒスノイズのように静かだった。
 寝返りを打ち、起き上がり、また倒れ込む。じっとしていられない。うつ伏せになって枕のリネンに顔を埋めると、不意に恐怖が沸き起こった。
 フロントで偽名を書く時、おれは怪しまれなかっただろうか?
 監視カメラに、おれは不審者めいて映り込んでいないだろうか?
 ドアの向こうでガタンと物音がしておれは飛び起きた。心臓がゴムまりのように弾んでいる。息を整えながら枕元にあるリモコンでテレビを点けると、ブーンという耳障りな音とともにニュースキャスターの無表情な顔が現れた。
「……長官は政治倫理審査会の開催について、特に必要は無いとの見解を示しています。不透明な資金の発覚が相次ぎ、国民の政治不信は増す一方です。では、次のニュースです。今朝九時頃、XX市のアパートの一室で若い女性が胸から血を流して死んでいるのを訪ねた友人が発」
 ぷつっ。
 テレビを消しておれは立ち上がった。歩き回るほどの広さも無い部屋では数歩歩けばもう窓にぶち当たる。毛羽立った遮光カーテンをおそるおそる捲ると景色の半分は隣接するビルの壁に覆われ、もう半分は低いビルの屋根が乱雑に折り重なり連なっている。貯水槽が聳える屋上にも、真下に見える細い裏路地にも、人影はない。カーテンを握る手が微かに震えている。口がからからに渇いていることに気付きおれは踵を返した。洗面所で一気に水を飲み干し正面を向くと、鏡の中には怯えて血走った眼のおれが居る。

 身を、案じたんじゃない。
 おれは安心したかったんだ。病気でも怪我でも、何でも良かった。生きていることを確認したかったんだ。
 マユミの家を訪ねる。チャイムにも応答は無い。誰も見ていないのを確認して合鍵で中に入る。閉め切った薄暗い部屋に人の気配はない。通い慣れた廊下を進み部屋の入り口で灯りを付けると、ついさっきまでマユミがここにいたような乱雑な部屋が光の中に現れる。トイレ、浴室、もちろんクローゼットにだって人影はない。寝乱れたベッドからは微かにマユミの匂いが立ちのぼる。マユミの面影を辿りながら座り込んだ俺の視線の先に、それはあった。
 海外旅行にでも行くつもりだったのか?
 何もかも見慣れた部屋の中で唯一覚えの無い、大きな、黒いスーツケース。

 あの時、おれは何故、それを開けようだなんて思ったんだろう。
 
 やっぱり座ってなんかいられなかった。洗面所を出て数歩、おれはやはり窓の前に居た。カーテンを捲る。さっき見た光景と何も変わらない。変わるわけが無い。小さな曇りガラスが規則的に嵌め込まれた無機質なビルの外壁。連なるビルの屋根、古びた貯水槽、真下に見える裏路地……。
 えっ?
 貯水槽の上に小さな人影が見える。立ち上がりこちらをじっと見つめているのは、テツヤだ。不意に感覚がよみがえり思わず掌を見つめる。女の首の、感触。もう一度外に目を向けると、人影はあれだけじゃなかった。ふたつ隣のビルの屋上に、隣のビルの窓越しに、路地の真ん中に、じっとこちらを見つめる、おれに注がれる視線。
 ……違う。
 同じ顔をした、テツヤの顔をした人影が、ただ佇んでじっと見ている。何人も、何人も、おれを、見ている。おれは小さく叫んで窓から離れた。シーツを被りベッドにうつ伏せる。見ないでくれ。違うんだ、おれじゃない。本当に、おれじゃないんだ。
 
 スーツケースを開いた途端、溢れ出した異臭。
 言葉では形容できない、ただ反射的に、生理的に、どうしても許容できない臭い。
 そして、そこにおれが見たもの。
 長い髪。
 不自然に折り畳まれた腕。
 細い足首。
 首から流れ出し身体を覆う、暗赤色。

 それはマユミじゃなかった。見覚えの無い、女。
 マユミが殺したのかもしれない。おれはそのまま逃げてしまえば、もしくは通報してしまえば、それで良かったのかもしれない。でも、あの時おれはひとつのことしか考えられなかった。
 ばれちゃいけない。
 マユミが犯人だったとしても、これが明らかになったら、そうなれば、おれとの関係が公に。おれも、疑われて、そうなれば。
 ダメだ。これを、そのままにしていてはダメだ。

 これ、さえ、見つからなければ。

 おれはベッドから起き上がりスーツケースを見つめた。まだ、これは、ここにある。大丈夫だ。ばれてなんかいない。
 こうやって泊まり歩くのはもう何日目だろう。海にも行った。もちろん山にも。でも捨てられない。捨てたものが見つかれば、おれが捨てたことはいずれバレる。監視カメラだって人の目だって、何処にでもある。ましてやおれはこんな目立つものを、持ち歩いて。ポケットの携帯電話はとっくに充電が切れて二度と鳴ることは無い。そして、それを捨てる勇気すら今のおれには無い。会社はとっくにクビだろう。家は、妻は、今頃……ふと鼻先に何かを感じた。反射的に脳が拒絶する形容し難いあの、臭い。これが部屋の外に、漏れだしたら。ダメだ。出よう。おれは慌てて靴を探し、迷いながらもスーツケースを掴んだ。スーツケースを動かすと滴り落ちたものが絨毯に赤茶色の染みを作っている。その染みを乱暴に靴で擦った後、おれは俯いたままドアを開けた。

11. シーラカンス2010年05月30日 16時13分58秒

 眠れなかった。どろどろに疲れているのに、今すぐにでも眠ってしまいたいのに。高架を走る車の音が唸るように低く壁を揺らしている。それに呼応するようにぴんと張りつめる神経が頭の片隅でびりびりと震えている。熱が上がっているんだろう、ベッドにめり込んででもいるように身体が重い。隣室から筒抜けの物音を聞きながら、押しつぶされそうに狭い部屋で僕はひとり息を殺していた。
 繁華街から外れた、どぶ川のほとりにある古びたビジネスホテル。壁の薄いこんな宿でさえ今の僕には贅沢だ。思い出してみれば数日前から体調はおかしかった。疲れも溜まっていた。そんな時に限って昨日、真夜中のレストランはやけに埃っぽく、古めかしい空調が唸りをあげて一晩中僕に風を浴びせ続けた。ひとたまりも無いってのはきっと、こういうことだ。
 眠るのを諦めて、僕はめり込んだ手足をひとつずつひっぺがすようにして起き上がった。喉は無数の刺を飲み込んだかのように痛い。ベッドを降りても身体が浮き上がっているように感じる。バスルームでコップの水を飲み干して正面を見ると、目の前には幽霊のような男が佇んでいた。乱れた髪、落窪んだ眼、くっきりとしたクマ。なあ。鏡の中の男に向かって思わず僕は呟いた。

 満足か?

 レコード店やライブハウスを一軒一軒巡る、そんな毎日はまるっきり成果の見えないルーティーンだ。24時間営業のレストラン、ファーストフード、うたた寝で夜を越す毎日。身体の何処かが日々すり減っていくような、感覚。何かに近づいている気はしなかった。むしろ僕は逃げ続けているような気がしていた。
 隣室のベッドが弾むように軋んでいる。ため息をついて僕は段差に足を伸ばした。ざらりとした絨毯に触れるはずの足先は冷たく、そこだけ水に浸かってでもいるようだ。

 ぴち。
 微かな音がした。もう片足をゆっくりと降ろすと、ぴしゃり。今度ははっきりと水音がした。思わず屈んで手を伸ばす。指先に触れる水。どうして。水の漏れる音なんて何も、いや、それどころか車の音も、あれほど筒抜けだった隣室の音も何もかも。自分の心臓の音が聞こえそうなほど、いつの間にか部屋は静まり返っていた。
 そして、ついさっき水たまり程度だった水嵩は音も無くくるぶしをあっさりと超えてさらにせり上がっていた。ベッド横のフットライトは既に水中に沈み、僕が足を踏み出す毎に壁と天井に映し出される波紋はまるで部屋全体を揺らしているようだ。

 ゆらり。
 部屋が、身体が揺らぐ。

 ぷつん、と突然テレビが点いて部屋に青い光が瞬いた。画面左にインタビューアらしき男、その向かいに座っているのは、テツヤだ。
「……違和……ったんで……周り……違……異質……が紛れ……」
 画像は乱れ、音声は途切れ途切れだ。
「で……わかったん……はきっ……深海……んだ……」
 インタビューアの声は聞こえない。いつの間にかインタビューアの姿も見えない。気が付くとテツヤは画面の向こうからまっすぐに、僕を見つめている。
「僕は、はぐれた深海魚だった。それがわかったから、海に潜ったんで」
 ぷつん。テレビは点いたときと同じくらい突然に消えた。

 水は膝に達しようとしている。恐怖は感じなかった。静まり返った部屋、流れも重さも感じない水。これが、現実であるわけがない。だからふと振り向いたベッドの上に音も無く女性が立っているのを見ても驚きはしなかった。むしろ初めからそこに居ることがわかっていたような気がした。長い黒髪を肩に落としたその女性はベッドの上にまっすぐ立ち、僕を見下ろしている。

 −−日曜日、に
 聞いたことのない声。
 −−待ち合わせ、したよね。ふたり、で、街を歩き回って。
 離れているのに、耳元で囁かれているような声。
 −−学校のことや、友達のこと、喋ってた、私、ひとり。
 たどたどしい言葉はしばしばため息で途切れ、女が言葉を探す間も水嵩は増していく。
 −−君が何も、喋らない、から。
 じわじわと腿を這い上がる水を感じながら僕は女を見つめた。顔にはぼんやりと霞がかかって表情も読み取れない。
 −−シーラカンス、みたい、君は。
 それなのに、女はこちらを見つめて悲しそうに微笑んだ。ただ、そう感じた。
 水は腰骨に近づいていく。
 −−固い鱗で、身を、守って、深い海に、潜り込んで、
 ……僕が?
 −−交わろうとしない、変わろうとしない。ただ眠りこんで、夢を見て、深海の岩の影で。
 誰かと、間違えてる?
 −−そして、仲間が消えた後も、深海で、生き残って、ひとりきりで、
 違う。君が言っているのは、僕じゃ。腰を過ぎた水が次第に胸へ迫る。
 −−それでも、嫌いじゃ、なかった。
 水が急速に増え始めた。既にベッドも水に沈んでいる。良く見ると女は水の上に立っていた。裸足のつま先が水の上に浮いている。
 −−どうして。
 女はしゃがみ込み、水の上に両手を付いて這うように僕に近づいた。胸を突き上げる水嵩とにじり寄る女。目の前に女の顔があるのに、女の顔だけがぼんやりと霞んでいる。僕はそのとき、初めて恐怖した。
 −−どうして海から出てきたの。どうして、あんなこと。
 水が首を浸す。女は僕に覆い被さるように身を投げ出した。や、め。僕の首をかき抱く女。仰向けに倒れる僕の顔が水中に沈む。吐く息が丸く水面に登る。もがく指に感じる水。口に喉に流れ込む水。水面が遠ざかる。女の髪がゆらゆらと揺れ、腕が首にきつく巻き付いて。

 −−深海魚は浮かび上がったら死ぬのよ。

 僕は目を覚ました。車の音が低く壁を揺らしている。隣室からはもう何も聞こえてこない。荒い息を整えてから、僕はめり込んだ手足をひとつずつひっぺがすようにして起き上がった。マットもシーツも汗でじっとりと湿り、ここだけ雨でも降ったようだ。おそるおそる床に足を降ろす。まるで身体が浮き上がっているように感じる。
 これは現実だろうか。
 現実、だよな。
 僕は手探りでスイッチを入れ、バスルームの扉を開けた。

 水。

 バスルームは水で満たされていた。扉を開けた僕に襲いかかり降り注ぐ、水。その水は冷たくも重くもなく、ホログラムのような光を放ちながらあっという間に僕を包み込んだ。
 これも、現実じゃない。
 水は尽きることなくバスルームから溢れ出している。目を開けると浴槽にさっきの女が佇んでいる。長い髪が水にゆらゆらと揺れ、女は僕の顔を見ると嬉しそうに微笑んだ。女から降り注ぐ光の粒が僕の頬をかすめて通り過ぎていく。ああ、そうか、君は。何かを思い出して僕は手を伸ばした。伸ばした手の遥か向こうで、女は微笑んだままで溶けるように沈んでいく。動けないでいる僕に、僕の知らない僕の記憶が止むことなく降り注いでいる。

10. ベッドタウン2010年04月27日 17時51分14秒

 カーテンの隙間から強い光が漏れ出している。どんなに遮っても滲み出して溢れ出してボクの目を射る太陽。この陽射しならきっと空に雲なんて無く、突き抜けたような青が頭上に広がるのだろう。そんな朝にボクは滲んだ光さえ避けるようにしてひとりうずくまっている。
 どうしても、行く気にはなれなかった。
 パジャマのままで膝を抱えてボクは壁に背中を預けた。温度とざらついた感触が伝わってくる。目を閉じると通りを行き交う車の音が聞こえる。窓の外なんて見なくたってわかる。家の前でゆるくカーブする狭い通り、埃っぽい路地、色の取れた屋根と汚れた壁が連なり、落ち葉が吹き溜まり、小さな公園には葉の落ちた木、そしてペンキの剥げかけた遊具。そしてその何処にも−−誰もいない。道端の花が首を上げほころんでもこの街はまるで枯れたように動かない。
 膝に顎を乗せると懐かしい臭いがした。退屈と後ろめたさの臭い。幼いころはよく熱を出して、眠り飽きた昼下がりにはけだるい身体を持て余しながら窓の外を眺めていた。もしかするとこの街は既に廃墟なんじゃないだろうか、取り残されたボクはこのままひとりきりで死を待つ運命なんじゃないだろうか、そんな空想にわざと飲み込まれて絶望を掌でもてあそぶようなひとり遊びを繰り返していた。何度も、何度も、それほどにここは静かだった。

 ボクはゆっくりと立ち上がり、カーテンの隙間から外を覗き見た。溢れ出た光に飲み込まれて真っ白な視界からゆっくりと目の前に立ち現れる光景、それは幼い頃にボクが見たものとそっくり同じじゃないはずだ。それなのに、この街はまるで時間が止まっているみたいに。目の端で何かが揺れた。駅の方向、ぽかりと何かが浮かんでいる。青い空の一点を針でつついたような、そこから丸く膨らんだ血の玉のような。
 赤いアドバルーンがひとつ、空に浮かんでいる。
 気がつくとボクは小さな子供になって駅前にいた。首が痛くなるほど見上げた先に見える顔。その向こうの、青い背景に浮かぶ赤い円形。
 そう、映画を見たんだ。
 アーケードを通り抜けた先にあった埃っぽい建物。
 ジュースとお菓子を買って。
 薄暗い部屋は雨が降るような音がして、
 黒く丸い玉が点滅して、
 目がちかちかとして、
 赤い唇をした女が振り返って……。

 不意に涙が溢れた。
 せき止めていた感情が針で突いた一点から丸く膨れ上がり、溢れ始める。ナツミ。ボクはナツミに会いたい。話がしたい。笑顔が見たい。それだけのことなんだ。それだけのことがどうしても叶わない。いつものように笑いかけたいだけなのに、見えない檻に閉じ込められてボクはナツミの影さえ見失ってしまう。どうして。尋ねても答えが返ることは無い。どうして。混乱したボクを周りがただ、見ている。
 見ている。
 神様がもしいるのなら、聞いてほしい。ボクは何も望まない。ナツミ以外は何も望まない。それだけでいいんだ。本当に、他は何もいらないんだ。だから奪わないで。ボクから、奪わないで。
 決壊し溢れ流れる感情をボクはいつものように目を閉じてやり過ごそうとした。少し我慢すればまた元に戻れる。感情に鍵をかけて明日からまたナツミに会いにいける。でも違った。怒濤のように溢れていたものは次第に色を濃くし粘り気を帯びて徐々にボクの身体を覆い始めた。経験したことの無い感情が身体の奥から沸き出してくる。
 気がつくと涙は涸れていた。ボクは目を開け、アドバルーンに目を凝らした。

 もし、神がいるのなら、証拠を見せてくれ。
 今、ここで。

 ピストルのようにボクは人差し指を差し出した。深く息をして、アドバルーンに狙いを定める。ボクの目の前で景色がぐにゃりとうねる。パースが歪みアドバルーンが次第に大きくなる。アドバルーンの上に人が、乗っている。狙いをつけるボクをまっすぐに見つめて、笑いながら手を振っている。アドバルーンの上で、テツヤが笑っている。ボクが狙いを付けていることなんて、今からボクに撃たれることなんて想像もしていないような笑顔。
 証拠を。
 ボクはアドバルーンにさらに狙いを定める。

 ぱん。

 弾けた音がしたと同時に、ボクは落ちていた。目の前にはさかさまになった街が、見慣れたボクの街がスローモーションのように近づいてくる。ボクは可笑しくて、笑い出しそうになって、それでいて溢れ出した涙の粒がボクを離れて飛ぶのが見えて、割れたアドバルーンの欠片がくるくるとボクの目の前を通り過ぎて、笑い出したボクの身体はいつの間にか見知らない何かに包み込まれて、真っ黒い塊になったボクの目の前で急速に日は暮れていき、夕暮れから濃い青そして暗闇になっても、いつまでもいつまでもボクは落ち続けていた。